増水の面河川カヤックツーリング(2011.9.19)

 
スタート地点へ向かう車の中、「Oさんがダム事務所に頻繁に水位確認の電話を入れくれたお陰で、仕手水位のデータがインターネット公開されるようになって便利になりましたね」などと、今日のツーリング参加者のOさんと冗談を交わした。
 
面河川・仕手水位観測所
 
駐車後、スタート直後の難所である旧面河小学校下のホールを確認しに歩いた。斜度がきつくなっている区間を一直線で流れ下る最後の落ち込み。一本の狭い流れなので、そこを避けることができない極めてたちの悪い難所である。
その難所の真上にかかっている橋の上から「今日は増水でつぶれているから大丈夫」と、Oさんと二人でしっかり確認した。いや、確認したつもりでだった…
 
旧面河小学校下の瀬
 
スタート地点に降り立ち、川に足を突っ込んだ。先週の四万十川と違って、面河川の水の何と冷たいこと。残暑はまだまだ厳しいが、水はもうすっかり秋である。
今回は、私がこれまで面河川を下った中でもっとも水量が多い。といっても、めちゃくちゃ多いわけでもないが、それでも水流のパワーは強く、水が重たく感じた。
まあ、このあとすぐの難所もつぶれていることだし、楽しく下ろうとの気持ちを込めてグイッとブレードをかいてスタートを切った。
 
私が先に漕ぎ出していたが、面河ダムからの支流との合流箇所で大回りしたせいで、Oさんがつぶれた難所行きの急流へ先に下って行った。私もすぐに追いかけた。
ふと先に目をやると、つぶれた難所のところで、赤いバウが天を指してひっくり返っている。さすがプレイボートだけあって、水の食われっぷりが良い。
これを見て、沈したくないと、微妙にルートを変えた。
私がその近くへ飛び込んだ瞬間、艇の動きがピタッと止まった。
 
「つぶれたように見えた地獄へようこそ!」
閻魔王が笑いながら、艇を後ろへ引っ張った。
 
地獄ホールへ引きずり込まれ、ひっくり返された。あわててロールアップした。一発で決まった。喜びも束の間、必死で前へ漕ぐも、またもや引き戻され沈させられる。
今度はロールを繰り返すもアップできず、沈したまま強い水流に巻き込まれる。
ロールを決めたところで、ホールへ引きずり込まれるのだったら、ロールしても意味がない…
そう思った瞬間、脱しかないと判断した。
もし、歩危常連のSさんの金言「やられたらそこで遊んでやったらいいんだよ」が思い浮かべば、もう一度頑張れたかもしれない。
 
脱しても唖然!体がホールの方へ引きずりこまれていく。
「お前は骨までしゃぶるのか」
あまりの無慈悲に愕然とした。絶望感にさいなまれる中で「死」という文字が頭に浮かんだ。パドルで漕いでダメなものが、素手や素足でバタバタしたところで、ここから脱出できるわけがない。「死」という言葉を抱きながら、体が水中に引き込まれていく。
でも、何だか息苦しくない。顔に激しくまとわりつくホワイトウォーターの気泡を吸っているのだろうか?
そんなはずはない。それができればOさんを越えたということだ。
バカげたことを考えながら、最後の時をゆっくりと噛みしめていた。激しい水流がやがてフカフカのベッドのように感じられてきた…
 
そのときだった、足の裏に石が触った。底まで沈んだのだ。とっさに頭から足に向けて伝令が走る。
「底を蹴って、地獄から抜け出せ!閻魔王に足をつかませるな」
 
気が付いた時には、地獄から脱出できていた。安堵した。
でも、しばらく瀞場といっても両岸岩壁の水路。水路中央の本流をプカプカ流され、なかなか岸に近づけない。
次に、もっと深刻な事態に気が付いた。水の流れは落ち着いているのに、未だに顔が水面から浮かび出ないのである。もがくとそのはずみで顔が水中から出せる。そのときに慌てて息をする。ライフジャケットをつけているのに何故だ。次の瀬は目前だ!
 
再び「死」という文字が頭に浮かんだ。瀞場でこんな状態なら、瀬に突入してしまうと本当に死ぬだろうと思った。低体温症で体の動きも鈍くなってきている。
最後のトライだと心に決めて、力を振り絞った。もがき泳ぎで何とか岸壁にしがみ付けた。
 
しばらくして、Oさんが私の艇をバウで突きながら運んできてくれた。
主人がいないなった後も我が艇は、しばらく地獄につかまっていたとのことであった。
心臓バクバク、肩で息をする。喉もカラカラだったけれど、すでにドリンクボトルは流されていた。
面河川の水を手ですくって飲んだ。
 
すっかり戦意を消失していた。もう怖くて漕げない。心に穴が開いた。
この岩壁の谷間から道路に上がるルートもなく、逃げ帰ることもできない。
 
しかし、ライフジャケットを着けているのに、何で顔まで沈むんだろうか?
答えはおそらく太ったからであった。5キロ以上体重が増えたから、ライフジャケットの浮力が利かなくなったのであろう。
腹回りについた肉もロールには邪魔だ。
普段、痩せよう痩せようと思っても、なかなか痩せられないものであるが、これで命に係わることが分かったので、本気で取り組める。
 
ライフジャケットも信頼できないし、自分の腕前も頼りない。それに艇も場違いのプレイボート。
ツーリング艇やクリーク艇だったら、水の食われも小さいし、つかまることもなかったであろう。状況や遊び方にあった艇を選択することが歳とともに重要になる。
いろんな反省をしてみても、ここから逃げられないので、とにかく棺桶カヤックで下るしかない。
 
岩壁続きで乗艇できる場所がない。危険を冒して泳ぎ渡り、何とかカヤックに乗り込めそうなところを見つけた。足をカヤックの中に収めようとするものの低体温症でやられて、動きが鈍い。
心が折れているうえに、体がこんな状態ではかなりやばい。でも、下らなければ何の解決もみない。心の折れを少しでも戻そうと、カラ元気を演じて再び漕ぎ始めた。
 
Oさんの後を追って次の瀬に突入したが、ビビりが入って体がこわばり柔軟性がなくなって、沈しやすい状況に陥っている。
チキンルートを探して本流から外れてみたが、石に乗り上げて、逆に危うい。
瀬をクリアしたところで、岸に上がれるところを見つけ、気を静めることにした。
心臓はまだバクバクしている。
 
この先どうであっただろうかと過去のことを思い出してみても、増水のせいで以前とは状況は変わっているだろうし、どんな危険が待ち受けているのか不安だ。とにかく、何でもないことを祈るのみである。
いくら休んでみても、無事にゴールしない限りは、気持ちの落ち着きは取り戻せない。気持ちを切り替えて再スタートを切った。
 
アドレナリンを放出しながら、びびりモードで漕ぎ続け、最難関の通称「ミニ曲り戸」まで何とかたどり着いた。
 

 
ここは事前の下見でポーテージすると決めていたので、気は楽だった。
艇を降りて、ポーテージのルートを確認してみると、危険個所を完全に回避できないことが分かった。岩壁づたいに艇を運べるところまで運んでも、荒れ狂う瀬の後半部分を漕がなければならない。険悪な落ち込みも見えているが、急流に思うようなルートも取れずにそこへまっしぐらというイメージしかわかない。地獄の再来だ。
 
通称「ミニ曲り戸」
 
どうにも自信がない。
別のところからポーテージできないものかと周囲を見渡すが、悲しいことに無かった。
漕ぐか止めるかの選択肢が無いというのも残酷なことである。
そんなとき、Oさんが「行こう!」と叫んだ。その自信がどこから来るのか不思議だったが、そもそもOさんにも成功イメージはないのだと思う。それでも怖いという気持ちを消せるのがスゴいのだ。
激流をやれる人は怖さを感じる神経を何本か切っているものであるが、Oさんはその神経が束で切れているのだと思う。
 
私も「行こう!」に同調して、気持ちを切り替えた。
しかし、一人ずつしか漕ぎ出せない場所に、まずは私の艇が置かれているのであった…
 
気持ちの整理ができないでいると、「私から行きましょうか」とOさんが言ってくれた。
もうプライドどころではない。「お願いします」と一番席を譲った。
 
Oさんとの事前打ち合わせで、まずは上流へ漕ぎ出し、流れに入って旋回し、中央寄りへ切り込んでホールを避けるというルートを確認した。
それにもかかわらず、Oさんといえば、スタートからほとんど漕がずにヒョロヒョロと急流に入っていって、そのままホールに向かっている。
慌ててバック漕ぎを繰り出すも、むなしく落ち込みにボコッと入っていった。
「ホール・イン・ワン!」私は心でつぶやいた。
 
沈は免れているものの、ホール直後で艇が横向きとなり、そこにとどまってフラフラしている。いつホールに飲み込まれて、人間洗濯機の刑に処せられてもおかしくない。
しばらくして、ホールに引き込む流れと下流への流れとの均衡が崩れ、艇はゆっくりと下流へ動き出した。無罪放免されたのだ。
 
次は自分の番。どんな審判が下されるのであろうか?
頭は最悪の事態しか想像できない。怖い、怖い…
ロールに自信がないということは、こんなに不安なものかと思う。沈して脱したら、セルフレスキューはもとより、助けてもらうのも大変だ。
Oさんのように、ホールへ流されるイメージしかわかない。でも、行くしかない。
 
私は、ほぼ理想どおりのルートをたどって、中央寄りに切り込んで行けた。
Oさんがはまったホールを望めるところまで来ると、川幅全体が落ち込みになっていた。
これはどこを通っても同じじゃないか!
次の瞬間、Oさんと同じように、ホール直後の審判場でフラフラしていた。
もう悪いことはしません!なにとぞ…
 
この瀬の閻魔王は寛大だった。私も無罪放免された。
後ろを振り返ると、この瀬の迫力に圧倒され、ここをクリアできたことに幸せを感じた。
 
通称「ミニ曲り戸」
 
もうここまで下れば、あとはウイニング・ラン。
出だしで本当に死ぬかと思ったが、何とか無事にここまで下れて、よかった、よかった。
今ある命は儲けもの。明日からもうちょっと大胆に生きてみよう。
 
さて、実はこの先、つかまるとヤバいホールがあるのだが、そこは既に織り込み済み。
事前にそこを避けるルートを進めばよい。
調子よく漕いでいたら、先を進むOさんの艇のバウが天を指しているではないか!
しかも、縦回転を始めている。
アッ、ここだった。難所は突然やってきた。
 
これは間違いなく沈脱だ。そう確信し、ご愁傷様とつぶやきながら、その場を慌ててかわした。
かわせたはいいが、目の前に岩が!
岩を避けようと艇を操作したものの体勢が崩れて、あっけなく沈してしまった。
ロールを繰り返すもののうまくアップできない。一度落ち着いてきちんとしたロール体勢を作ろうと必死でパドルを天の方へ差し出すものの一向にブレードが水面から出ない。
結局、闇雲にロールをしてしまい、体力を消耗してしまう始末。これはもうだめだ。脱だ!
 
しかしその瞬間、「ここでOさんだったら脱してしまうだろうか?」と思った。答えはノーだ。
また、スタート直後の脱しても死ぬ思いをしたことがよみがえり、最後にもう一度トライしてみようという気になった。
丁寧なロール動作に心掛けた。
腰の返しを十分意識して、まずは艇を起こし、それに連動するように上体を水中から引き上げた。
うまくいった。息が上がって、心臓がバクバクしている。
 
Oさんはきっと脱しているだろうと、上流へ振り返ると、漕いで近づいてくる。
さすがの一言。
 
Oさん
 
この出来事に私は大きな壁を乗り越えられた気がした。
もう脱しかないと絶望の淵に立った時、もう一度落ち着きを取り戻すことで、ロールアップすることができた。
安易に脱しようと思うな。ロールできなくしているのは、自分の弱い気持ちだったのだ。
 
死んでも「脱」しないと腹をくくれ。
沈脱癖が付いたら、いつまでたってもロールは極められない。
激流の中でも、やがて穏やかなときが来る。その時に備えて体力を温存し、なぜできないのかを水中でじっくり考えてみる。
場合によっては、まったく違うことを想像して、脱しようとする気持ちをそらすことが有効かもしれない。
 
この後ゴールまで、ちょっとビビってしまう瀬が一か所あったが、無事に下り終えることができた。
 
■終わりに
レポートの表現内容は少しオーバーだったかもしれないが、激流で沈して水の中で息苦しくしているときに考えることは、最悪の事態である。例えば、ホールでグルングルン巻き込まれて凄いことになっていると思い込んでもいても、実は、ひっくり返ったままの状態で、ホールにちょっと引っかかって、ロールしようともがいているだけということはよくあることだ。
ここで平常心を保つことができれば、思い込みの恐怖に負けた、自滅の「脱」のほとんどを防ぐことができるかもしれない。どんな状況に陥ろうと冷静さを保つことが大事であると、今回も川からありがたい教えをいただいた。
 
 

◆旧面河小学校下の地獄ホール◆

 
旧面河小学校下の瀬
 
旧面河小学校下のホールは写真奥、左岸側の橋脚のすぐ横にある。
橋から下を眺めても、ちょうど見えない位置にあたるため、状況把握ができなかった。
面河川の平水時ではおそらく大した落ち込みにはならず、川下りできるような水量になってくると、地獄化してくると思われる。
 
■ホールの構造
写真手前から流れ下る水が集中し、最後に両岸からせり出した岩でさらに狭まり、水流が盛り上がって落ち込むことによってできていると思われる。
なお、多くのホールは川底岩を乗り越える流れの落ち込みによってできているが、ここは特徴的な地形によって生み出されている。
 
落ち込んだ水流は、いったん底の方に潜って水面層で上流側に戻る反転流となる。
ここにカヤックがはまり込むと、下流に向いて漕いでいるのに、後ろ髪を引っ張られるがごとく、上流側に後退し始め、落ち込みの反転流に巻き込まれてバック転状態でひっくり返される。
反転流の勢いが強くなるほど、なかなかここから脱出することはできない。
 
特に人工物である横一直線の堰である場合には、堰を越えた落ち込み流に不規則な乱れが起きにくく、脱出するきっかけができないため、永遠につかまり続けることになる。死亡事故例あり。
 
プレイボート
 
なお、ツーリング艇やクリーク艇のように大きく長く容量のあるカヤックになると、ホールの上をつぶして越えていくようになるし、艇自体の浮力も大きく、また足も速くなるのでつかまりにくい。たらい舟みないなプレイボート(写真)は、わざと水流に絡ませて、艇を立てたり回転させたりして遊ぶのが目的であるので、このようなところで使うのは自殺行為に近い。
 

【恒例行事】秋の味覚堪能ツーリング(民宿「舟母」泊)

今年も恒例になりました民宿舟母に泊まる「秋の味覚堪能ツーリング」を実施します。
この時期は「山と川の幸」満載で食べ物が一番おいしい時期です。
どしどし参加表明をお願いします。

■日時
 9月10日(土曜日)~11日(日曜日)
■集合場所
 10日11時 カヌー館駐車場(高知県四万十市江川崎)
■コース
 10日:四万十川江川崎~口屋内(民宿舟母まで)
 11日:参加者で相談
■費用
 宿泊込み 9,000円程度
■参加申込み
 9月7日(水曜日)締め切り

■参考
 ≫ 民宿舟母HP

カヌー駅伝の結果

大洲市カヌーツーリング駅伝大会は前2回、参加申込みをするものの出場選手の数を揃えることができずに不出場となっていました。

今回もそんな感じになっていましたが、1週間前の美人カヤッカー?の呼びかけで、イケメンカヤッカー?が奮い立ち、何とか出場に漕ぎ着けました。

結果は入賞!
Aクラス出場6チーム中、6位。
実は6位までは入賞なのです。

出ればもれなく入賞だったのですが、そんなことより、出場を果たせたことに価値があります。
よし!来年は久しぶりの優勝をつかみ取るぞ。

第21回大洲市カヌーツーリング駅伝大会

≪流の会 西野会長からのお知らせ≫

流の会では、今年はAクラス(男子、男女混合)で1チームで申し込んでいます。
メンバーを集めてぜひとも出場しましょう!
今年は私も参加します。
会員の皆様の参加表明を心よりお待ちしています。
また、松山カヌークラブのメンバーで、都合のつく方の参加もお待ちしています。

■日時
 8月21日(日曜日)
  7:30 大洲南中学校集合
  8:05 バスで開会式場へ移動(1,3,4,5区漕者)大洲小学校
  8:40 バスで開会式場へ移動(2区漕者)大洲小学校
  9:00 開会式
  9:45 Aクラススタート
■チーム編成
 1チーム選手5名
■コース
 【1区】 大成橋 から 成見橋 まで (3.4km)
 【2区】 成見橋 から さかなげ橋 まで (3.1km)
 【3区】 さかなげ橋 から 父橋 まで (3.5km)
 【4区】 父橋 から 新冨士橋 まで (3.4km)
 【5区】 新冨士橋 から 城山下 まで (1.9km)
■その他詳しい内容
 ≫ 実施要項(PDFファイル)
■参加申込
 メーリングリストか、西野会長まで
 締め切り:8月17日(水)

重信川ツーリング

いつでもカヤックで漕げるくらい水量のある四万十川、吉野川、仁淀川などは、松山市から車で2~3時間は掛かります。

今回下った川は、松山市中心部から車で約20分のところを流れる「重信川」です。
近くにありながら、今までカヤックで下らなかったのは、
【1】普段の水量が少なすぎて、カヤックに乗ったままずっと下れない
【2】だだっ広い川に細々とした水流がクネクネと流れているだけでおもしろくなさそうだ
【3】都市部郊外を流れる川で水質が悪そうだ
などという理由です。


出所:Googleマップ(ツーリング区間を追記)

でも、ある程度まとまった雨が降れば、漕げることは漕げます。
機会があれば一度は、近くにあるこの川を漕いでみたいと思っていました。


出所:Google Earth(ツーリングルートを朱記)

このたび、カヤックから遠ざかっていて何年も漕いでいない仲間から、家の近くにあるこの川で漕いでみたいとの久しぶりの連絡があり、ついに7月10日(日曜日)、重信川を漕ぐときが来たのです!

まとまった雨から3,4日ほど経ってしまい、結構減水していました。
東温市上村橋から砥部町赤坂泉まで、約6kmを、日差しが弱くなった16時頃から2時間かけて下りました。

瀬はすべてザラ瀬。
降りなければ通過できないところが4,5箇所ありました。

でも、それを承知の上でしたので、このことはさほど気になりません。
それよりも、道路から眺めていたのとは、全く違った世界がひろがっていて、案外おもしろかったです!!


(写真:倒木が通せんぼ)

コースが単調なので、何度も下ってみたいということはありませんが、それでも、水質は予想以上に良く、大洲市を流れる「肱川」よりはマシだと感じました。

スポットでちょっとした遊びができるところがあればいいのですが、普段の水量ではとても無理です。
1年か2年に1回は、水質調査がてら下ってみるのもいいでしょう。
それにしても、カヤックが川を下っているのを見て、驚く素振りを見せる人がいなかったのは、ちょっと予想外でした。
それとも、あまりの想定外のことにどう反応してよいのか、わからなかったのかもしれません (笑)

松山市沖シーカヤック島めぐり

松山市沖シーカヤック島巡りマップ
出所:Googleマップ(GPSデータによるツーリングコース等を追記)

■コース、距離、時間(全2泊3日、52.2km)
1)北条~高島、15.6km、5月5日12:25~15:25
2)高島~怒和島(ぬわしま)、10.5km、5月6日8:47~11:19
3)怒和島~野忽那島(のぐつなしま)、17.9km、5月6日12:35~16:08
4)野忽那島~北条、8km、5月7日5:32~7:41
■天気
曇り、微風~弱風

天気図
出所:(株)ウェザーマップ『気象人』

潮汐表
出所:海上保安庁海洋情報部
 
 
松山市沖の忽那諸島めぐりを兼ねて、怒和島に住む旧友に会うために、シーカヤックで出掛けました。


1泊か2泊の予定だったので、キャンプ道具やレスキュー道具などを含めると結構な荷物になりました。
1泊もそれ以上も、食糧が増えるだけで荷物の量はさほど変わりません。

私のシーカヤックは大きい方ではないので、全ての荷物をカヤックの中に納めることができませんでした。風の影響を受けるので、あまりデッキの上に荷物を積み込まない方がいいのですが…
ラダーなしのカヤックだとなおさらです。
(デッキの上の緑色マットでくるんだバックは、パドルフロートの後ろに積んでいますが、背中のすぐ後ろに載せた方が良いです。その方が風で艇の向きが変えられようとする力が弱まります。)

私はリバーカヤック歴が長いので、ラダーでカヤックを操作することは考えられないことなのですが、シーカヤック長距離ツーリングでは、体の動作で大きなカヤックを操作することで疲れて、漕げなくなることは避けなければならないことです。
できるだけ疲れないことが安全確保上、求められます。

ラダーなしの操作性を補うために、私は股に空気で膨らますバックを挟み込んで、足がハルに押しつけられるようにしています。これだと、フットレストに足を置く必要もありません。
自ら足を張る力が要らないのでとても楽ですし、その分、疲労を抑えられます。
しかし、沈して脱出しようとしたときに足が抜けなくなるので、人にはお勧めできません。


さあ、出発です。
野忽那島の北端を回り込んで、睦月島との間の芋子瀬戸を抜けます。
睦月島の南側を中島方面に漕ぎ進みます。


中島のすぐ沖の無人島「高島」が見えてきました。キャンプ地に良さそうです。
まだ15時半ですが、この先、キャンプ適地を見つけるのに苦労するのもイヤなので、ここに決めました。


薪となるものも豊富で、無人島キャンプには良い島です。お勧めです!
中島のすぐ沖ということで、無人島感は小さいですが、それだけ安心感もあります。
天気は穏やかで焚き火の煙もほぼ真上に上がり、煙にむせることもありませんでした。
星空もきれいで、最高でした。

あとで分かりましたが、なかなかキャンプに適した場所はないものです。
これだけの荷物をシーカヤックに積み込むと、一人でカヤックを陸に上げるのは不可能です。FRP製のカヤックなので、引きずり上げるのも気が引けます。
砂浜につけて、積み込んだ荷物をいったん下ろしてからでなければ、カヤックを陸に上げられません。
満潮線より上にキャンプできる場所のある砂浜はそんなにはありません。


2日目。旧友の住む怒和島に向かいます。
初めての島ですが、思ったより大きいです。



専用船で柑橘類を出荷するのかと思って近付いてみたら、タマネギでした。段々畑での栽培が盛んなようです。
段々畑といえば、宇和島市の遊子(ゆす)地区が有名ですが、遊子では芋を栽培しています。
タマネギだとあまり水を必要とせず、実も大きくなっていいとのことでした。
柑橘類では「カラマンダンリン」という品種が、今の出荷時期だそうです。

20年ぶりに再会した友人は、シーカヤックを見るなり、よくこんなちっぽけなモノで来たなと驚いていました。
手土産の焼酎の代わりにカラマンダリンをもらって、帰途につきました。

中島のどこかにキャンプしようと思いましたが、なかなか良いところが見つかりません。
中島を諦めたのち、海も穏やかだったので、一気にゴールしようかなとも思いましたが、これだけの準備をしたのだから、キャンプを楽しまなければもったいないと考え、野忽那島に立ち寄ることにしました。


浜に上がると、「浜でゴミ等を燃やさないで下さい」との注意書きが。
現地の人と無用なトラブルは避けたいので、楽しみの焚き火は止めておきます。
「田舎は誰も居ないようで居る。誰も見ていないようで見ている」がこれまでの私の経験です。

島の人に水をもらいに行くついでに、東屋でキャンプすることの了解を得に行きました。
見ず知らずの者が小さな島にいることは地元住民にとって気になることだと思います。安心してもらうためにも挨拶しておくのが礼儀だと思います。

焚き火ができないのは残念ですが、夜露をしのげ、砂まみれになるのを避けられるのは快適です。


夜明け早々、対岸のゴールに向けて漕ぎ出し、旅を締めくくりました。

シーカヤックでの旅は準備が大変ですが、自然から教わることも多く、様々な要素を楽しむことができます。
普段の生活では味わうことのない、一歩間違えばヤバいことになるという環境に自分を置いてみることは、人間が本来持っている能力を呼び起こすためにも大切だと思います。

4月四万十川例会の報告

4月9日(土曜日)~10日(日曜日)、高知県四万十町昭和「ふるさと交流センター」をベースキャンプとする四万十川例会を行いました。

例年は冬でも漕ぐ川組メンバーも今年はほとんど休眠。
クラブの高齢化も進行の一途…
と、暗い話は抜きにして。

土曜日のキャンプは2組でしたが、途中、多忙の中、顔出ししてくれたメンバーもいて、楽しい夜を過ごしました。

日曜日のツーリングには7名が集まり、三島の瀬からベースキャンプまで下りました。
瀬遊びでは、ロールの切れ味が悪く、何度か沈脱が頭をよぎりましたが、何とか持ちこたえました。

楽しい強制運動に、冬の無精でなまった体もすっかりリフレッシュされ、気分爽快となりました。
久しぶりのカヤックとメンバー再会に、カヤッキングというより、ダベリング中心だったような気もします。
やっぱり、月に最低1回は漕がないとダメだなと思いました。

流の会総会・肱川ツーリングのお知らせ

新年度の総会を実施いたします。恒例の肱川ツーリングも行います。
出来るだけ多くの新旧の会員の皆様が集まり肱川をのんびりとツーリング出来ればと思っています。
総会で22年度の報告と23年度の計画を話し合い、総会後の懇親会を行います。

多くの会員の皆さまの参加をお待ちしております。

■日にち
 4月30日(土)~5月1日(日)
■場所
 大洲青少年交流の家
■申込
 西野弘親 携帯or個人宛メールにて e-mail: peg02230@nifty.com
■締切
 4月15日(金)
■費用
 5,000円程度
■日程
 総会&懇親会 30日(土)18時開催
 ツーリング1 30日(土)13時、青少年交流の家・駐車場に集合
 ツーリング2  1日(日)10時、青少年交流の家・ロビーに集合
 (大洲青少年交流の家の艇を借りて、肱川ツーリング)
■備考
 参加表明に際しては、「ツーリング」「懇親会」「宿泊」
 「朝食(宿泊者のみ)」の有無もお知らせください。
 (1)ツーリング30日(土)
 (2)ツーリング 1日(日)
 (3)総会(宿泊)
 (4)総会(日帰り)

竹ヶ島シーカヤックツーリング


出所:Googleマップ

場所は、愛媛県の南予方面です。


出所:Googleマップ(GPSデータを手書きで大まかに落としたもの)

コース: 宇和島市津島町北灘(大浜漁港)~竹ヶ島~田之浜~スタート地点
時間: 11時10分~15時30分(昼食休憩1時間)
距離: 17.8km
天気: 晴れ、北風(中風~強風)


出所:ウェザーマップ『気象人』


出所:海上保安庁海洋情報部

 1月2日、シーカヤックの漕ぎ初め(こぎぞめ)です。
 晴天で暖かくて、もう春って感じでした。
 日焼けしてしまいそうで、顔に日焼け止めを塗りました。

 スタート/ゴール地点は、漁港の端のスロープ部からです。出艇も楽です。
 通常、漁港の利用は漁船の邪魔になってはいけないので避けるものですが、船の出入りもほとんどなく、迷惑を掛けるような感じの港でもありませんでした。(正月休み中だったからかもしれませんが)

 ここから竹ヶ島へは北からの追い風を受けて漕ぎます。
 遠くには、御五神島(おいつかみじま)と寝床島が見えます。浮島現象掛かって、海岸縁が崖のように伸びて見えます。
 実際にはどんな感じの島か、Googleマップの航空写真で確認してみました。


大きな地図で見る

 御五神島を中心に動かして拡大してみると、港のようなものが見えます。昔は人も住んでいたようです。
 なぜこんな不便な所にも人が住んでいたのでしょうか?
 それは、昔は一次産業で生活していくしかなかったからでしょう。
 シーカヤックを通じて、いろいろ考えさせられます。

 いつか漕いで行って、できればキャンプでもしてみたいものです。
 でも、無人島でのキャンプはちょっと心細いです。

 竹ヶ島はこの集落だけのようです。
 鉄筋づくりの建物が多く見えます。割ときれいに整備されている感じです。
 
 ここで昼食休憩です。
 弁当の人もいますが、私は鍋でお湯を沸かしてラーメンを作ります。具は赤ウインナーです。

 ここから、西へ進路を変えて、陸地の田之浜に向かいます。
 遠くに、雪を被った「鬼が城山系」が見えます。この山系は「南予アルプス」とも呼ばれていますが、言ったもの勝ちの感があります。

 西向きに進むことで、北風を横からもろに受けます。
 この風の影響で風見鶏よろしく、カヤックが風上(北)に向こうとします。
 これを押さえながら、西向きに漕ぎ進むのに結構体力を要します。
 ラダー(舵)付きのカヤックなら楽なのですが…。

 シーカヤックは疲労が命取りになるときもあるので、遠距離を漕ぐ場合など、遊び方によっては、できるだけ疲れないような装備が必要です。

 やっとの思いで対岸に着きかけたときに、何と!猪が海を泳いでいるではありませんか。
 そういや、昼食休憩した竹ヶ島に溺死した猪が打ち上げられていました。

 ここ田之浜には、宇和島市が管理するシーカヤッククラブの基地があります。

 ここではテーブル珊瑚が見られますが、昔にはなかったものです。
 温暖化の影響です。

■ この辺りの状況は宇和島シーカヤッククラブHPにて。
 ≫ 宇和島シーカヤッククラブHP

 田之浜からはゴールに向けて、基本的に北方向に漕いでいきます。
 所々で北からの強い向かい風を受けます。

 でも、横から風を受けるよりは、正面から受けた方が楽です。
 横からの風は、カヤックの進路を保つのに、テクニックと体力を要します。

 向かい風の中、漕ぎ負けないようにゴイゴイ漕いでいると、しみじみシーカヤックは体力が必要だと思います。(特に沖に出て漕ぐ場合)
 何で、奴隷船の漕ぎ手のようなことを好きでやっているのか分からなくなりますが、無事にゴールしてみると、次はどこを漕ごうかと思ったりします。

 自分の限界に挑戦するようなキツい遊びやスポーツが現実として人間社会で行われているということは、それなりに魅力があるからでしょう。
 自分の限界を確認することで、自分はまだまだやれるという達成感が得られるからなのかもしれません。
 そして、人間の知力や体力など、自分のもっているものをフルに活用して生きていくことこそが生き甲斐であり、人間の本当の生きる意味なのかもしれません。
 
 
PS.
 強い向かい風の中、グラスファイバー製?のキャッチの強いパドルを使わせてもらいましたが、私の細身ブレードの木製パドルの良さを実感しました。
 一言でいうと、人にやさしいです。
 強風の影響があまり感じられず、シャフトを握る手に受ける衝撃や負担も木によって吸収されます。
 かといって、特にキャッチが弱いわけでもありません。
 ゴイゴイ漕げば、強いキャッチ感で漕ぎ進みます。

 

■ 一緒に漕いだ仲間のレポート(ブログ)
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カヤック・スタンド

実はイスです。
[商品名]スリム・エックス・チェア

でも、カヤック・スタンドにちょうどいいです。
イスというか、カヤック・スタンドという方がしっくりきます。
で、ネットで検索してみると、やはりカヤック用に使っている人が結構いるようです。

カヤック・スタンドに使うなら、普通2個あれば良いのですが、私のカヤックは分割艇です。
組立・分解に使おうとすれば4個必要です。

定価3,360円だと、4個で13,440円です。ちょっと手が出せません。
でも、特価品(1,960円)がありました。
アルミパイプ製で軽く、使い勝手もイイです。

カヤックの幅広部では、パイプ剥き出し部分に接触してしまうので、その部分を水道ホースで覆ってやることにしました。